最初は“最悪な人だな”としか抱かなかった。
真白さんを振り回して、良い印象など持てるわけがないだろう。
だけど、いつからだろうか。
いつしか雛乃やお母さんやお父さんと血が繋がっていないことよりも
この極悪人の血を引き継いだのかと思う方がおぞましく感じるようになった。
次第に時は過ぎ、そのおぞましさは憎悪へと変わっていった。
暴行の挙句、中絶させようとしたのは真白さんじゃないということを改めて思い知って、命を軽んじる下劣な野郎だと。
殺意が湧いたのは時間の問題だった。
その頃だ。光が現れたのは。
「なんだこれ……?」
放課後の教室に突然現れた光。
怖かったけど、同時に気にもなった。
光に触れると、教室の地面ごと光に吸い込まれて、俺は床が消えたかのような感覚に包まれた。
床が、消えた……?
反芻していると、俺は真っ暗闇のトンネルを駆け抜けた。



