あの夢の続きをもう1度描けたら



人工妊娠中絶。

つい最近保健の授業で習った。

ある条件下のもと、妊娠状態を意図的に中断することができる手術のこと。

授業でその中絶についての問題について、詳しく習った。


倫理的に殺人ではないか、という意見があがる中絶。


俺はまだそういうことは知らないけど、もし大事な人にそんなことが起きたらどんな決断をしても自分も責任を負おうと考えていた。


それほど重い問題なのだ。

──何せ罪のない命を自ら消すのだから。


“無理矢理中絶された”


だからその言葉に行き場のない憤りを感じた。


その女性はそれでも中絶をしたくないと逃げた先がお母さんとお父さんのところだったという。


『この子を産みたい』


自分のお腹に宿った命を愛おしく思う姿はとても強い母親のように見えた、とお母さんは言った。