2年前、つまり俺が高校2年生の時だ。

俺はなんの変哲もない高校生活を送っていた。


「お兄ちゃん! おかえりー!」


中学3年生である妹の雛乃に迎えられ、俺は靴を脱いでスリッパを履いて奥のリビングへと進む。


妹は文句なしで可愛い。

シスコンと言われたらそこまでなのだが、雛乃が選ぶ相手は俺も吟味してやろうではなないかと。

もし雛乃にそぐわない相手であれば認めてやらんと言うような父親のような。


そのくらい雛乃が大好きだった。

雛乃の屈託のない笑顔、ふにゃふにゃしたなんも考えてなさそうな顔がたまらなく好きだった。


「迅! おかえりー! 今日の夜ご飯は何がいい?」

「昨日はわたしのリクエストだったからお兄ちゃんの番だって! お母さんがさっき言ってたのー」

「じゃあハンバーグかな」

「またハンバーグ? お兄ちゃん本当に好きなんだね」

「お子様舌で悪かったね」


世間一般で見たら幸せな家族だ。

でもそれは偽物に過ぎなかった。