入ったのは洗面所らしきところだった。
そこで下ろされ、わたしは何をすればいいのかわからず、黙って彼を見上げた。
「あの、わたしはこれから何を……」
「脱げ」
は? 何言ってるの、この人。
シャワーを貸してくれると聞いたけど、だからといって目の前で脱ぐ必要性などない。
「変態なの?」
「お前バカだろ。こーすりゃあいいの」
呆れたようにわたしの上着を脱がせ、近くにあるカゴにポイッと入れる。
「じゃ、ゆっくりあったまってな」
「……はい」
彼は一言残すと洗面所から出ていった。
ひとりなったわたしは盛大なため息を吐く。
脱げって俺は出るから自分で脱げってことだったのね……何をひとりで勘違いしてたんだろ。
恥ずかしい……いや、言葉数が足りないのも悪いよね。
わたしは決して悪くない。



