その姿を見てわたしはハッとした。
アランは実の母親と姉が魔力を吸い取られて死んでしまったところを見たのだ。
奴隷の時も、魔力を奪われて死ぬところを何度も見たことだろう。
彼女が誰よりも魔力が消えることに恐怖を抱いて、敏感になっているのはわかり切ったことだった。
それに気づくと、アランに申し訳なくなった。
「ごめん、アラン……わたしはまだ魔力あるから心配いらないよ」
「……っ、ヒナノォ……っ」
「ごめんね……っ、ごめんね、アラン……っ」
アランもわたしと同じように座り込んで、わたし達は抱き合った。
彼女につられてわたしもポロリと一筋の涙が流れた。
「穴さえ塞がれば……!」
きっとそんなことしても無謀なのだろう。
それでもわたし達にできることはそれくらいしか思い浮かばなかった。



