こんなカッコいい人が好きな人のハートを射止められないわけがない。
「先輩は?」
「わたしも……いるよ」
わあ……初めて言っちゃった!
柚子にも言えなかったこと。好きな人が夢の中の人って告げたら笑われる自信があるから。だからといって、嘘のことを伝えるには気が引いた。
でもトモくんなら、少しだけ誤魔化せば恋バナというものをできるかもしれない。
実は誰かと恋バナをするのは夢だったのだ。
「……どんな人ですか」
「うーんとね、わたしが頑張らないと会えない人」
「頑張る、ですか?」
「そう。わたしから会いに行かないと会えないの」
自分からトラオムに行かないと出会えない人。
「遠距離なんですか? 相手の男は先輩に会いに来てくれるんですか?」
「遠距離、かな……? わたしから会いに行かないと無理だな」



