「ごめん! 遅れちゃった!」
「雛乃先輩も充分早いですよ」
今日は段ボールに入っている本を仕分けて、また値決めをする。
わたしは柚子に言われたことを忘れて、普通に接しようと努めた。
「じゃあ、あとこの段ボールたちですね」
「あと2つ……希望が見えてきたね」
「はい。早く運びましょうか」
トモくんはふたつとも持とうとしたので「ひとつ持つよ」と慌てて声をかける。
彼は悩む表情してから、わたしにひとつ渡してくれた。
階段を登りながら、トモくんと楽しくお喋りする。
今の話題は恋愛のこと。
トモくんが『柚子先輩ってモテそうですよね』って言って、わたしが『モテるけど好きな人いるよ』と返したので、流れでそうなったのだ。
「雛乃先輩はいないんですか?」
「え……っ、トモくんは?」
「いますよ」
いるんだ……絶対両想いだろうな。



