「ああ、ニゲラが毎度のことすまない」
「いいってもんよ! ドラゴンと仲良くなる日が来るとはなあ……」
おじさんはニゲラをよしよし撫でながら感慨深く言った。
頭を撫でられたニゲラは気持ちよさそうに「クゥーっ」と喉を鳴らした。
ドラゴンは人と仲良くしないもんね。
わたしもニゲラ以外のドラゴンと言ったら、初めてトラオムに来た時に遭遇したので最後だ。
本当にニゲラみたいな存在は珍しいんだな。
「りんごは買ってくか?」
「……じゃあ、3つ買おう」
「まいど!」
ユキがりんごを受け取ると、ニゲラも引き取って屋台を後にした。
「すっかりニゲラも人気者になったな」
「ほんと! すれ違う度に『ニゲラちゃーん』って話しかけてくれたね!」
「クゥー!」
ユラハの家までゆっくり歩いていると、街ゆく人々にたくさん声をかけられた。



