それでもいい。
わたしの笑顔が好きだと言うなら、笑っていよう。
笑っててほしくて、幸せであってほしいと願わずにはいられない。
そばにいて欲しい人に出会ってしまった。
でも、トラオムに来たことを後悔しなかった。
***
フランクフルトを食べ終えて、ニゲラを抱っこしながら一緒に歩く。
ランタンの淡い灯りがとても幻想的で綺麗なのだが、ひとつだけ街灯のランタンの光が消えていた。
「ベニア・エドナデアティビ」
わたしが呪文を唱えると、ランタンの光が灯った。
「あれ? 呪文変えた?」
「あ、うん。前の呪文でも良かったんだけどね」
“マイン・シャッツ・デザートス”
皆と戦いたいという気持ちで唱えたあの呪文。
だけど、あれはみんなと違って寂しいからわたしも混ぜてよっていう気持ちがこもっていた。



