紅い瞳からは何も読み取れない。
寂しいって顔はしてないけど『寂しい』を隠すために感情を乗せないように語っている。
「親父はかっこよくて輝いてる人だって母さんからよく聞いてる。母さんは親父との子どもを産めて……俺が息子でよかったって、たくさん愛情を注いでくれる」
胸が痛くて、泣きたくなった。
なんでだろう。ユキはお母さんからいっぱい愛されて育ったのだから寂しくないのに。
「それにヒナノとユラハとアランといるんだったら、俺は寂しくない」
ユキがそう言うと“わたしは”寂しくなった。
それと同時にある推測が頭の中に降ってきた。
もしそれが本当だったら。
──わたしはとんでもないものを抱いてしまった。
「だからヒナノ。心配しないでいいからな」
──だって。
もしこの夢が有限だったら?
これが現実だったらいいけど、つまりそれはトラオムが地球上に存在することになる。
だからこれは夢の世界だと認めざるを得ないのだ。



