「ぶつからないように」
「……っ」
繋がれてない方の人差し指を口元に立てて、遊び心をくすぐられる。
真っ赤になったわたしを見て、ユキはしてやったりと笑ったのだ。
繋がった手を見つめながら歩いていくと、大きな広場に入った。
たくさんの人がそこでダンスを踊っている。
……ヒップホップとかジャズじゃなくて、これ、社交ダンスというか本当に舞踏会だ。
「アラン、そろそろ時間だね……」
「おう。じゃあ、最初の相手はユラハだな」
みんなに合わせるように、アランとユラハも一緒にワルツを踊り始めた。
わたしは青ざめた顔でその光景を眺めた。
これはその場でやり過ごすで済まない話だよね?
わたし、踊りできないんだけど……?
途方に暮れたかつ、ユキが繋いだ手を離したので、パニックに陥った。
「レディヒナノ。どうぞお手を」
かと思いきや、ユキは跪いてわたしに手のひらを差し伸べた。



