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夜になって、月光とランタン灯が淡くわたし達を照らしてくれる。
「わぁ……!」
アーケード街全体がランタンだらけだ。
色んな方が立食して楽しそうに談笑していたり。
まるで貴族が行うパーティーみたいだ。本とかでよく見かけるアレ。
「わっ、すみません……」
「チッ」
人通りが多くて、歩くだけで人にぶつかってしまう。
ぶつかった人に睨まれて自分が悪いのかと一瞬思ったが、詫びひとつも入れないことに腹が立ってくる。
怒りをぶつけようにも、騒ぎにしたくないし、もう姿が見えなかったので、抑え込んだ。
「ヒナノ。こっち」
ユキがそんなわたしを見つけてそっと手を包み込んだ。
「……っ、え、ユキ?」
繋がれた手を見て、わたしは信じられない気持ちでユキを見上げた。



