きっと前の主様が私の魔力を吸い取ったのに違いありません。
──死ぬんでしたら、このくらいしてもいいですよね。
どうせ最後なんです。望みを言ってもいいですよね。
『もし助けが欲しかったら僕とユキの名前を叫んで。いつだって駆けつけるから』
まだ動かせる唇で、自然と口走っていました。
「ユラハ様……っ! ユキ様!」
遠くから何かの雄叫びが耳に入りました。
そうしてその声が近づいてきて、気づいた時にはドアが剣によって破壊されてしまいました。
「全軍突撃ーっ!」
突然ドアを壊して入ってきたのは、武装した集団でした。見た感じざっと30人はいるでしょう。
主様たちは何事だと動揺が走ります。
それは私も同じでした。
主様たちは呪文を唱えて、相手の魔力を吸い取ろうと試みます。
だが、その集団から倒れる気配が微塵も感じられませんでした。



