外に出て雨に打ちのめされ、身体が濡れているのもお構いなしに主様についていきます。
「おい、俺に魔法を使え」
私は魔法で薄い水の膜を作って、主様を雨から守らせます。
主様は「上出来」と愉快に笑って、ほっとしました。
「オメエは俺の古株だ。10年以上も俺の奴隷のオメエは幸せ者だな。あの母親も姉貴も死なずに奴隷にすればお前みたいに幸せだったのになー!」
きゃはは、と笑っているがどこにそんな面白いところがあるんでしょうか。
この人はどこまでも狂っています。
「……っ」
しかし奴隷に口答えは許されません。
私は黙る他ありませんでした。
庶民で奴隷の私には一生入れなかったであろう豪華なお城に足を運ぶ主様と私。
慣れた足取りで主様はどんどん前へ進んでいきます。
「おい、さっさと歩け」
お城の中は誰も住んでいないと思うほどとても静かでした。
主様はある一室の前で立ち止まり、私も静止します。



