わたしが意見を押し切ると、彼はかしこまりましたと折れてくれた。
「では、ヒナノと呼ばせていただきます。僕はトラオムの騎士団長を務めております。何かございましたらいつでもお呼びください」
騎士団長……!?
体格はしっかりしてるから顔見なかったらとても強そうだなって感じるが、こんな可愛らしい容貌から騎士団長とは結びつかない。
驚いてしまったが、すぐに私は「わかりました」と頷いた。
ユキはそんなわたしを見てから、騎士団長に咎めるような視線を投げる。
「あの、騎士団長。いくら王の命令だったとはいえ、ユラハの怪我はどうするつもりですか」
わたしはあの傷を思い出す。
王のせいとはいえど騎士達がやった傷だ。
ユキの言う通り、責任は取ってもらいたい。
「ああ、彼なら……」
「ヒナノちゃん」
「「ユラハ!?」」
さっきの怪我が嘘だったかのように、しっかりとした足取りで歩いてきたユラハ。
笑顔を浮かべていて、無理しているようには見えない。



