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わたしが見たのは、トラオムに行く時に見るあの強烈な光だった。
それを自分の意思で自在に生み出せた。
そのことが未だに信じられない。
「ヒナノ、今魔法を……」
「うん……使えた!」
ユキに放った槍も閃光によって跡形もなく消えていた。
つまりわたしは魔法を使ってユキを助けられたということになる。
「ヒナノ様。この度はおめでとうございます。あなたも立派な光の魔法使いですね」
「ありがとうございます……それにアドバイスも……」
「いえ、僕も今回は王ではなくヒナノ様の味方なので、なるべくやヒナノ様に手出ししたくなかったのです」
騎士は「とはいえヒナノ様の大事な方を傷つけてしまい申し訳ありませんでした」と恭しく頭を下げた。
様づけされることがないので、いたたまれない気持ちになる。
「あの、ヒナノ様とかやめてください……! ヒナノで全然大丈夫ですから!」
「しかし……」
「光の魔法使いは珍しい存在だって聞きますけど、だからって敬う理由にはなりませんからヒナノと呼んでください」



