感情だけで行動してしまって、後先何も考えてなかった。

怒りに狂う大きなドラゴンは、また先ほどのように攻撃の準備をした。


ああ、やっぱり死んじゃうのね。

何度も死にかける経験が訪れても、それを慣れろと言われるのは無理あるわ。

だって涙が出ちゃうもの。


怖いあまり何も発せないわたしは静かに泣いて、大きなドラゴンの攻撃を待つ。


そして、大きなドラゴンの口から並み外れるほどの強力なビームが放たれた。


と、その時だった。


ビュンと、空を切る鋭い音が耳に入った。


右上方を見上げる。巨木の枝からひとりの男性が剣を振るいながら飛び降りてきた。

男性の持つ剣は炎を纏っていて、その炎で大きなドラゴンのビームを真っ二つに割った。


見事な攻撃が決まった後、わたしの前に華麗に着地した。


まさかだとは思うけど……助けに来てくれた?


「おい、伏せろ!」


少年にしては大人びた声でわたしに言い渡した。

言われるがまま、咄嗟に伏せる。