お兄ちゃんと柚子を見送って、わたしは呆然とする。
もしかしてお兄ちゃんも、柚子のこと好きになった……?
「……とりあえず中に入ろう」
わたしはリビングでお兄ちゃんのことが気になるあまり、落ち着きを失っている。
さっきの柚子と負けずにそわそわしてる。
──ガチャ
ドアの開く音がして、肩をビクッと震える。
お兄ちゃんが家に帰ってきた。
真相を確かめるために、わたしは即座にお兄ちゃんの元へ向かった。
「お兄ちゃん! 柚子のこと好きなの!?」
「いきなりどうした?」
「だって、あんなお兄ちゃん見るの……初めてだったから」
「雛乃の友達だからね。丁寧に接しないと」
そうじゃない。お兄ちゃんは嘘をついている。
友達を家に呼んだのは初めてではない。
しかも柚子よりも遅くに帰った子だっている。



