自我が壊死していくのはあっけないものだった。
いとも簡単に奈落の底へ追いやられた俺は、途方もない虚無感に全身を支配され、しばらくの間無気力状態が続いた。

仕事に行く気にもならない、それどころか外出する気にすらならない。
テレビもつけず閉めっぱなしのカーテンの向こうで太陽の動きを拝むこともなく、時間の感覚が麻痺していく中、食事も睡眠も最低限、ただ朱里に想いを馳せるだけの異常な生活を続けていた。

もちろんそれが長続きするはずもなく、案外早く行き着いた答えに俺は縋りつくことになる。
朱里にとって俺の存在は負担なのだ。
だったらあとは白井先生に任せて、俺は消えるべきなんじゃないだろうか。