車で市街に移動し、目的地も定まらないまま俺達は適当に駅周辺をぶらぶらしていた。
明日は日曜日なだけあり、行き交う人々で辺りはそれなりの賑わいを見せている。
夕食をとりに来たのを忘れたのか、朱里が目を輝かせながら洒落たブティックに入っていこうとした時は止めさえしなかったが、思わず溜め息を漏らしてしまった。
普段田舎暮らしなだけにこうして大きな建物が密集する土地にくると、まるで遊園地に来た子供のように朱里がはしゃぐのは毎度のことだ。

ふと思う。
こうして二人肩を並べて歩いている光景は、赤の他人からカップルと見間違われていたりするのだろうか。
それはそれで嬉しいに他ならないのだが。
仮に知人に目撃されても兄妹だと言えば事済む話だから、そういう意味では便利な単語である半面、二人の障害ともなっているその言葉を盾として有効活用しているのが不甲斐なく感じる。