しかし思春期に差し掛かった私は、ひょんなことから次第に自分の奥底に潜んでいた感情の変化に気付きつつあった。

中学二年生に上がってから半年程経った頃、周囲よりちょっぴり遅れた初恋だった。
お兄ちゃんに向けている愛情の中で、家族という見方より異性という概念が強まっている。
無自覚だったその想いを自覚し始めた私は、表面上なるだけ平静を装っていたけれど、胸の内ではいつもお兄ちゃんを求めていた。
後ろからいきなり抱き付いたり、隣を歩いていて腕を組んでみせたり、今まで意識せずに行っていたスキンシップは私の欲を掻き立てるには十分で。
一緒にお風呂に入ったり寝たりする度、理性を壊してしまいたくなった。

それでも私が踏み止まっていたのは、兄妹という続柄である以上私達は本来結ばれてはいけない関係というのを、重々弁えていたから。
兄妹というたった二文字の単語が、道徳に背こうとしている私にとっての唯一のストッパーになってくれていたのだ。