カレシとお付き合い① 辻本君と紬



「いいかげんにしろよ」


と辻本君が、さめたキツい口調で、その子に言った。
目が冷たかった。
でも、全然めげないで、


「でも、わたし、理玖に話があるんだから聞いてほしい、わざわざ来たんだから、案内ぐらいしてよ、これでいい?説得?」


と、うすら笑いして、私を真っ直ぐにらんだ。

 私も、目をそらさなかった。
 こんな自分の事だけを押し付ける子に、真面目だとか、無理とか、言われる覚えない。
 辻本君の事、絶対渡せない!


「自分だけで勝手に決めて、周りを従わせるのは違うかなって⋯⋯ 。辻本君の意見も聞かずに1人で言ったって、誰しもみんな、それぞれの立場でそれぞれの考えがあるのに」


圭太が、


「お前、負けだよ、適当にまわって帰りなよ」


と言った。


「俺たちは、ここで時間を積んでんだよ。紬ちゃんの言ってることが、俺らの考えだよ。1年半前と違うんだ。成長しろよ」


と言った。


「でも! じゃ、理玖! あたしと今度、会ってよ! 」
「3分」


と辻本君が冷たく言った。
 私の(ほお)にそっと指をあてて、少し笑った。


「3分待ってて」


とその子と廊下に出た。
 辻本君が部屋を出た瞬間、緊張してたのか、私は何もないところですっ転んだ。


「うわ、紬大丈夫?」


 うんうんって、うなずきながら、立ってスカートを払った。
 はずかしい。
 思ったよりショックを受けてた。はっきり話そうって思ったのもだけど、それより、あの子の辻本君に対する態度がなんか嫌で、心がざわざわささくれだつようなかんじ。嫌だな。
 足に力が入らない。

 落ち着こうと思った。
「水飲むね」と、ちょっと離れたとこに置いてある紙コップと水のところに行って、入れようとした時。


「圭太〜あの人、理玖の今カノ? 」


と残された方の子が甘ったるく言ったので、まいちゃんが岡本君の腕に手をからめて、


「どーゆー意味⁈ 」


とキッとにらんだ。


「私は違うよー、私、圭太も理玖も元カノとかじゃないよ! 元カノはさっきのあの子の方、理玖の元カノ! 」