「いいかげんにしろよ」
と辻本君が、さめたキツい口調で、その子に言った。
目が冷たかった。
でも、全然めげないで、
「でも、わたし、理玖に話があるんだから聞いてほしい、わざわざ来たんだから、案内ぐらいしてよ、これでいい?説得?」
と、うすら笑いして、私を真っ直ぐにらんだ。
私も、目をそらさなかった。
こんな自分の事だけを押し付ける子に、真面目だとか、無理とか、言われる覚えない。
辻本君の事、絶対渡せない!
「自分だけで勝手に決めて、周りを従わせるのは違うかなって⋯⋯ 。辻本君の意見も聞かずに1人で言ったって、誰しもみんな、それぞれの立場でそれぞれの考えがあるのに」
圭太が、
「お前、負けだよ、適当にまわって帰りなよ」
と言った。
「俺たちは、ここで時間を積んでんだよ。紬ちゃんの言ってることが、俺らの考えだよ。1年半前と違うんだ。成長しろよ」
と言った。
「でも! じゃ、理玖! あたしと今度、会ってよ! 」
「3分」
と辻本君が冷たく言った。
私の頬にそっと指をあてて、少し笑った。
「3分待ってて」
とその子と廊下に出た。
辻本君が部屋を出た瞬間、緊張してたのか、私は何もないところですっ転んだ。
「うわ、紬大丈夫?」
うんうんって、うなずきながら、立ってスカートを払った。
はずかしい。
思ったよりショックを受けてた。はっきり話そうって思ったのもだけど、それより、あの子の辻本君に対する態度がなんか嫌で、心がざわざわささくれだつようなかんじ。嫌だな。
足に力が入らない。
落ち着こうと思った。
「水飲むね」と、ちょっと離れたとこに置いてある紙コップと水のところに行って、入れようとした時。
「圭太〜あの人、理玖の今カノ? 」
と残された方の子が甘ったるく言ったので、まいちゃんが岡本君の腕に手をからめて、
「どーゆー意味⁈ 」
とキッとにらんだ。
「私は違うよー、私、圭太も理玖も元カノとかじゃないよ! 元カノはさっきのあの子の方、理玖の元カノ! 」


