大雨の夜。びしょ濡れの制服。冷たい風。


ビルの外階段にある小さな電球と、それに照らされる屋上の名もない野花。


ほとんど土もないのに凛としているそれは、降ってくる雨で大きく揺れながらも美しく咲いていた。


わたしと正反対だ。


生きる気力もなく、無表情で過ごしているわたしは、きっと生きる意味もない。


わたしなんかより、きっとこの野花はずっと長く生きるのだろう。


野花が見上げる先には、分厚い雲の隙間から細い月が覗いていた。