くすくす笑う声に、ルネリアは大きく目を見開いた。殺意を向けられた相手に笑えることもさることながら、キャロラインから発されているその声は、先ほどの甘い声とは真逆の、男の声であったからだ。
ルネリアが目を丸くすると、キャロラインは扇子を口元に当て、笑いながらルネリアの瞳を覗く。
「ふふふ、何でか分からない顔をしてる! 何でわたくし……ううん、僕の声が低いんだろう。まるで男みたい……そう思ってるんでしょ、不思議だなあって。可愛い女の子の声から男の声がするなんて、不思議だもんね?」
「彼女に近づくな」
キャロラインがルネリアにあと一歩と近づこうとしたところで、グレンが割って入った。キャロラインはそのグレンの反応を楽しむようにして笑っている。状況をさっぱり飲み込めないルネリアに、グレンは「不思議も何も、こいつは男だ。ルネリア」と端的に説明する。
「えっ……キャロライン様は、男性……なのですか?」
「ああ。本名はエドワード・キャロラインライルリッヒ……。女の装いをしているが、男で……そして、悪辣な奴だ」
グレンがキャロラインを睨むように言い、ルネリアはキャロラインを見つめる。すかさずキャロラインが「なあに? 男が女の服を着ちゃいけないの〜?」とおどけるようにグレンの腕をつついた。



