「気に入らなかったということか?」
「その……背中の、留め具が、自分では……ちょっと……」
ルネリアの語尾が、どんどん小さなものへと変わっていく。ルネリアが今どんな状況になっているかを理解したグレンは、愕然とし顔を青ざめさせた。
(完全に、失念していた。そうだ。留め具が背中についているのなら、留める人間が必要じゃないか……)
グレンは今まで、服やドレスというものに興味がなかった。どんな令嬢がどんな煽情的なドレスを着て微笑んできたとしても、人間が布を被っている程度の認識だった。
だからその留め具がどこにあろうと興味がなかったし、知りたくもないと考えていた。しかし、グレンはそのことについて、現在、絶望していた。自分がもう少しドレスに詳しければ、いや、仕立て屋ほどの知識があれば、ルネリアを困らせることはなかったのにとグレンは心の中で悲嘆に暮れた。
やがて、グレンはどうやって自身に罰を与えようか考え始める。いっそ腕の一つでも切り落とすか、再生する間にルネリアが襲われたら大変だと考え直し、今、目の前のルネリアを一刻も早く救うべきだと気付いた。



