【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 そして今日の分を書き終え肩を伸ばしていると、不意に扉がノックされた。「いるか」という、短いグレンの言葉に、彼女はすぐさまドアノブに手をかける。

 扉を開くと、そこにはグレンが険しい顔つきで立っていた。今までルネリアの部屋にグレンが自発的に訪れたことは一度もない。何か明日のことで言い忘れたことがあったのかと言葉を待っていると、グレンはその眉間のしわをさらに深く刻みながら、ぼそりと何かを呟いた。

 しかし、ルネリアにそれを聞き取ることは出来ず、遠慮がちに聞き返す。するとグレンは、「明日は!」と力を込めて発した。

「……お前は、どんな予定が入っている」
「いつも通り、お部屋のお掃除と、温室のお手入れ……それと書庫の整理を……」
「……明日は、しなくていい」
「え」

 ならば、明日は何か別のお仕事があるのだろうか。