しかしその均衡は、ルネリアの異母姉の身勝手な振る舞いによって、崩されてしまった。その振る舞いのせいで、関係ないルネリアが王家から敵と見なされたとグレンが知ったのは、ルネリアが既にハーミット家を去り、平民となって街の紹介所で寝泊まりをし始めた時だった。
グレンは、今までルネリアを見守っていなかったことを悔いた。そっと陰から見守るようなことをすれば、いつかルネリアを攫い父のような存在になってしまうと、ルネリアのことを調べることも、知ろうとすることもしなかった。そんな己を今もなおグレンは悔いている。
(その存在に慰められて、助けられていたのに、救われていたのに、ルネリアが過酷な状況に置かれていたことも知らず、あまつさえ最も辛かった時期に自分は何もしてやれなかった)
だからこそ、ルネリアを守り、そしてせめてましな暮らしをしてもらおうと、そう考えてグレンはルネリアを最も手早く招くことができ、すぐにルネリアと離れることが出来ると、彼女を侍女としてメアロード領に招いたのだ。
ルネリアを守らなければいけない。グレンはそう考えているのにも関わらず、日ごとルネリアへの想いが増していくばかりだった。幼少期のルネリアと、今のルネリアはきっと違う。人間は成長をする。初恋は初恋だ。そう考えていたのに、ルネリアは幼き日の優しさや強さを持ったままだった。あの頃以上に素敵な人として成長したとグレンは感じた。そして、その恋心を増大させていく。



