しかしグレンの企みとはよそに、ルネリアはかなり早い段階から、温室に連れてきてくれてありがとうとお礼を言ってきた。
クローゼットの服や、ルネリアがおそらくまだ気づいていない化粧台の宝石たちは、王都からこの辺境の地に訪れ満足に買い物が出来ないからと用意した。
風呂の石鹸や香油は気味の悪い男と二人暮らしを始めたルネリアの心が壊れないよう、気の休まる場所になればいいと各国から取りそろえた。
さらに元より入浴にさして楽しみを見出していなかったグレンが城を建てたとき、「そこまでの広さは不要だ」と、狭く作っていた風呂場はグレン自らが壁を破壊し、王宮のものと言っても過言ではないほどのものへと作り替えたのである。
ルネリアが毎回お礼を言ってくる食事も、せめて食事くらいはましな気持ちでいられるようにと、人より何倍もの速度で動くことが可能なグレンが三日で各国あらゆる国の料理を学び、鍛錬をした成果だったが、付け焼刃の技術にしかならなかったとグレンは反省していた。



