だから誰しもがグレンの直系の後継を望んでいたのである。しかし、グレンの意思は頑なで、領民の誰しもが当主の婚姻をあきらめる中、突如グレンは「幼いころからずっと想っていた女性と結婚する」と発表したのだ。
よってそんなグレンの相手が、平民のルネリアだということに対して、領民の驚きはなかった。何故なら、今までずっとグレンは誰とも想いを通わせようとしていなかったのだ。それがグレンの「幼いころからずっと想っていた女性と」という言葉で、何か事情がありグレンは結婚できず、その恋人の為に誰も自身に近づけさせなかったのだと理解したからだ。
そして流れた続報が、平民女性との結婚の知らせ。
相手が平民であったから今まで結婚できなかったのか、それで何かがあって結婚できるようになったのだろうとメアロードの民は納得したのである。そしてその頃には、ルネリアの真実が周知されていたというのも、メアロードの民が二人の結婚を祝った要因の一つである。
はじめ、メアロードの民はルネリアの素性について、誰も知らなかった。メアロードの当主が侍女を一人呼び寄せたことは皆知っていたが、みなそれが王太子を寝取った女の妹だとは、当然思わなかったのである。



