メアロード家の当主が廃太子の凶弾に倒れた事件から半年、メアロードの街はまたとない祝いの声で盛り上がっていた。
街ではどんな建物もその屋根が花々に飾られ、道を歩く子供たちですら沸き立ち、嬉々として駆け回る。そんな子供たちを見つめる老若男女問わずの大人たちも、どことなく浮かれた気持ちで笑みをこぼしていた。
そうして、メアロードの領民が祝いを捧げる対象はたった一つ、今日がメアロードの領地を統治する主、グレン・メアロードの結婚式だからだ。
その発表が公的に為されたとき、領民は驚きと、そして祝いに沸いた。というのもグレンはかねてより婚約者をつっぱね続け、挙句の果てに次に自分に婚約者を勧める人間はこの地を追い出すと言い、婚約を打診した王家を「燃やす」と脅迫し、さらに自分は誰とも婚姻を結ばない、時が来たら継ぐものを選ぶと宣言していたからだ。
グレンにとってそれは当然のことであったが、領民にとってはたまったものではない。自身の城に誰もいれない、何を考えているかわからない、厳しく恐ろしい領主であっても、独身宣言をしたり婚約を勧める人間を脅す以外の領民に対しての行動は正しいものであった。



