【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 その背中を見送り、キャロラインは大きくため息を吐く。

 この国に伝わる、吸血鬼に対抗する五つの呪具。それらは時間の流れと共に破壊を受けて減り、使用できるものは三つとなっていた。しかしそれも、一つは廃太子により朽ち果て、最後の残り二つはグレンが破壊した。

 呪具の破壊は、キャロラインにとって宰相に極秘裏に託された重要な任務であった。任務の発端はメアロード家の当主であるグレンが、王家と公爵家の没落した家の令嬢、ルネリアに突如関心が動き出したことを宰相が知ったことから始まる。

 かねてより呪具を疎ましく、何とかして自分の代でそれを破壊することを自分の使命としていた宰相は、その呪具を破壊できるほどの力を持つ吸血鬼にして、国境の守りを任されているグレンに目をつけていた。

 しかしグレンは毎日を淡々と過ごし、何にも興味を示さず、ただひたすら国を守ることに尽力し、かといって王家に忠誠もなければ、野心があるわけでもない。目的の全く見えない男であった。