【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 キャロラインはそんな二人の様子を見て、ほっと安堵するようにして「じゃあ僕は王家に報告があるから」とルネリアに手を振り、部屋から去っていく。ルネリアはグレンの肩越しに会釈をして、グレンをさらに強く抱きしめた。



 豪華絢爛な装飾がされる部屋のバルコニーに、ローブに身を包み、フードを深く被った男は降り立つ。そして一息吐いてから、フードを取り去り亜麻色の髪を整えると、中であれこれと箱に囲まれドレスを見繕う男――この国の宰相であるダリウスに声をかけた。

「全部終わりましたよ」
「ああ。ご苦労だった。キャロライン」

 ダリウスは潤色の髪を鬱陶しそうにかきあげると、青みがかった紫水晶の瞳を気だるげにキャロラインに向けた。しかしその手元はせわしなくドレスを選定したままだ。キャロラインはダリウスの様子を気に留めることなく淡々と話を始める。