【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 ルネリアがグレンの手のひらを、血を込めるように握りしめる。それと同時に、夜空に浮かんでいた雲が流れを変え、半分ほど姿を隠していた満月がその身を現した。するとルネリアのすぐ近くで光を受けたそれが煌めく。その光をルネリアが視界に入れたとき、ルネリアの心が決まった。

「ああ、かみさま……っ」

 ルネリアは、その光に手を伸ばす。今まで信じていなかった神の存在を、たしかに感じながら、それへと手伸ばす。グレンは朦朧とする意識の中でルネリアを見て目を見開いた。グレンの瞳に映るルネリアは呪具である鉄杭を、あろうことか自分の左胸に向けていたからだ、そして、ルネリアが何をしようとしていたか瞬時に察したグレンは、吠えるようにその名を呼ぶ。