【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


「貴女を、人の元へ帰さなくてはいけない……。俺と貴女は住む世界が違う。貴女は光の下生きるべき人間で……俺は血濡れの世界でしか生きられない化け物だ。それなのに貴女は、俺を受け入れようとしてくれた……。俺と向き合おうとしてくれた……。そのことは、俺の生きてきた中で、誇りだ。貴女に認めてもらった。それだけで俺は……悔いなく逝けることが出来るだろう。でも……貴女と離れるのが、寂しくて……苦しくて……だから公爵家から連絡が来ても、貴女に別れを伝えることが出来なくて……今日、出かけた時に、何度も言わなくてはいけないと、そう思っていたのに……きちんと手を離さなくてはいけないと思って……いたんだ。でも……」

 グレンが、ルネリアが掴む自身の手の力を、緩めていく。

「いざ、その時が来ると……、貴女を遺すのは、不安だ、な……」

 グレンは、力なく笑う。ルネリアの瞳は涙に濡れ、その笑顔が滲んでよく見えない。ルネリアは何度も何度もグレンを呼びかける。このままこの人を、一人で逝かせたくはない。こんなに優しい人を、一人ぼっちにさせたくない。この人の傍にいたい。ずっと、永遠に。まだこの人の笑顔を見ていたいのに。離れたくない。明日だってこの先だって、ずっと過ごしていいのに。