しかし突如、ルネリアは自身を抱きとめるような衝撃を感じた。次に分かったのは、感じた覚えのある体温。ルネリアが恐る恐る瞳を開けると、紅色の瞳がルネリアを照らしていた。
「グレン様……?」
「ルネリア……」
バルコニーの少し下、壁に張り付くようにしてグレンはルネリアを支えていた。そしてルネリアを抱いたまま、グレンは一際高く飛び立ち、マリアとエーベルが並ぶバルコニーを見下ろすように、そばの塔の屋根へと降り立った。
「メアロード、お前……」
憎々しげにエーベルはグレンを見上げる。グレンはそんなエーベルを見据えた。
「これから先、俺は長く生きていくではあろうが、王家に廃嫡された愚かな平民に呼び捨てにされることなんて、今日限りないだろうな」



