【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 ルネリアは目を閉じる。死ぬことなんて恐ろしくない。自分のせいでグレン様が傷つくことがただひたすらに恐ろしかった。

「……私は、この杭を持って行きますから、どうかグレン様はご無事で」

 ルネリアは祈りをささげる様に杭を持ち、前に手を組む。そして一思いにその身を倒して、暗い夜の海へとその身を投げた。

「ルネリア!」

 ルネリアは落ちていきながら、グレンの声が聞こえたような気がした。グレン様の声を聴きながら逝けるなんて、幸せだ。心からそう思ったルネリアは、夜空に浮かぶ月に微笑みながら風を受けていく。