「ふふ、これはねえ、吸血鬼殺しの杭なの。エーベルが持ってるのは銃。吸血鬼なんて化け物への対抗手段が、一つなわけないでしょう? だからどんくさいお前が、万が一どちらかから呪具を奪えたとしても、意味なんてないってわけ」
マリアの言葉に、ルネリアは音を立てて希望が崩れていく感覚がした。しかし、すぐにルネリアの瞳に強い意志が宿る。それまで不安に揺れ、あまつさえ自分に怯えていたルネリアが明確に反抗的な目を自分に向けたことで、マリアは一瞬怯むと、それを無かったことにするように「何よその目は」とルネリアをきつく睨んだ。
今までマリアは何度もルネリアに対して、ルネリアの瞳が、目つきが気に入らないと彼女を罵っては暴力を振るってきた。その度にルネリアが戸惑ったような声をあげたり、「私は何も」と言い訳をするように自身に許しを乞いていた。



