マリアは怒鳴りつけるようにして、ルネリアの腹を踏みつけた。そして興奮するように何度も何度も執拗にルネリアを蹴りつける。ルネリアが腕で庇おうとして、ようやく自身の手首に枷がつけられていることに気付いた。自身を守ることもできぬままに、ルネリアはマリアによって痛めつけられていく。
「お母様は、悪くない……っ」
「悪いの、悪いのよ! お父様は愛のない結婚だったって言ったわ! 愛しているのはお母様だけだって言っていたもの! 男が生まれればそこで離縁できたのに、お前が女だったからまた跡継ぎを産まなきゃいけなくなって! 離縁もできず、母様と結婚できないって! お前が男じゃなかったから!」
その言葉に、今までマリアがどうして自分を疎ましく思っていたのかにルネリアは気付いた。マリアはずっと、自分が父親と暮らせなかった日々を、その寂しさをルネリアにぶつけていたのだ。今まで、そういった理由でマリアは自分のことを嫌っていたのかと、ルネリアははっとする思いだった。



