【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


「お姉さま、どうして……」
「どうして? そんなの、お前が一番分かっているでしょう?」

 そうしてマリアがルネリアに追撃を放とうとすると「待った」と聞きなれぬ声が響いた。ルネリアが浅く呼吸をしながら声をする方向に顔を向けると、炎に照らされて揺らめくように立っていたのは、紛れもなく廃摘された王太子エーベルであった。エーベルは倒れたルネリアに近づいていくと、鼻で笑い蔑むような目を向ける。

「今まで君の顔を近くで見たことがなかったけれど、君は本当にマリアと似ていないね。冴えなくて、華が無い」
「お、王太子殿下……どうして……」
「どうして? どうしてって、そんなことも分からないの?」

 エーベルはさもおかしそうに、まるでルネリアが非常識なことを言っているかのように笑う。マリアもつられるようにして笑い、ルネリアは得体のしれない気味の悪さを感じた。ルネリアが後ずさるように身を引くと、エーベルは「それはねえ」と口を開く。