【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 驚きながら周囲を見渡しても、景色はオペラホールではなくどこかの屋敷の一室のような場所で、燭台に灯された炎だけが自分たちを照らしている。窓の外、バルコニーの景色は暗く、灯りのついた建物どころかその陰すら見えないところから、それなりに高い場所に位置しているようだったが、それ以外に外の景色は分からず、夜であることくらいしかルネリアには分からない。

「お、お姉さま……? うぅっ」

 ルネリアがおぼろげにそう呟くと、マリアは尖ったヒールのつま先を当てるようにしてルネリアの腹を勢いよく蹴り上げる。途端にルネリアはむせた。

 その様子を忌々し気に、それでいてどこか楽しげにしてマリアは笑うと「相変わらず汚い娘」と吐き捨てるように言ってのける。