その結果、グレンはルネリアに耳を塞がせ、自分はボックス席の入り口でキャロラインの部下と話すことにした。
誰かがこのボックス席に入るためには、まずキャロラインの部下や自分を倒さなければいけない。グレンは架空の戦う相手を想定して満足げに心の中で頷く。ルネリアはグレンの指示通り耳を塞いで、念の為にと目を閉じた。
「それで、一体何の話だ。俺に大事な話とは」
「はい。キャロライン様に言伝を頼まれておりまして、実は……」
キャロラインの部下がそう言いかけた、その瞬間。不意にグレンたちの立つボックス席の足元がぐらついた。
グレンがルネリアに怪我はないかと振り返ると、ルネリアの背後に深い闇が現れる。反射的にグレンは名を絶叫しながらルネリアの元へ飛ぶと、自分が今どういう状況に陥っているのかを理解したルネリアは、グレンのもとへ駆け出そうとする。しかしそれを阻むように、ルネリアの手に闇が纏わりついた。



