【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 ホール内は一階と二階で分かれており、さらに二階から舞台側へと飛び出し囲うようにしてボックス席が配置されていた。ルネリアとグレンが貰ったチケットの番号はそのボックス席の中でも最奥の端を示すもので、二人はその席を目指し歩いていく。

(……席についたら手は、離さなくちゃいけない……)

 ルネリアは僅かに顔を曇らせる。そして同時期にグレンもそっぽを向き、いかにも座席を探しているふりをしながら俯いた。

(……席に着いたら、もうこの手を繋げない。いや、初めの目的を忘れたのか。ルネリアの安全が第一だろう)

 グレンは邪な感情を振り払うようにしてボックス席へと向かっていく。そして二人の座席に辿り着き、いざ入ろうとするとグレンに向かって声がかけられた。

「グレン様っ」