(なんだ極上とは、気持ち悪い言い方だったじゃないか。まるでこう、使用人をいやらしい目で見ている最低な主ではないか……? 天の使いが授けた衣のようだとか、もっと言い方があっただろう!)
グレンは心の中で、愚かな自分を三百人ほど殺していく。ルネリアは自分の手が不快感を与えていないことに安堵し、グレンの言葉の不自然さに気付くことはない。グレンがどう挽回すればいいか頭を悩ませていると、唐突にルネリアが足を止めた。グレンは嫌われたと考え、ルネリアを振り返る。
「なななな何だ?」
「えっと、会場ここです。ここが入り口です……」
ルネリアが遠慮をするようにグレンを見る。グレンははっとして顔を上げると、目の前には目的のオペラの入り口があった。グレンは「では行くか」と何事も無かったかのように、そして内心では大きく取り乱しながらホール内へと入っていく。



