【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 よって訪れる客の量も膨大で、全てのホールへと繋がる廊下は人でひしめき合っている。分かりやすい目印の代わりに入り口には演目の看板が描かれ、床は上質な絨毯で敷き詰められており、華美で色彩豊かな景色に不慣れなルネリアにとっては、自分の入場するホールを探すのも至難の業だ。

 見るに見かねたグレンはルネリアの手からチケットを取り、目を凝らして周囲を確認していく。すると人の波の間に目当ての番号を見つけ出した。

「あった。あそこだな。奥から三番目の会場だ」

 グレンは一際入り口がごった返す場所を指で指し示す。明らかに人々が犇めき合うその場所は、ルネリアに対して病的に過保護であるグレンが脅威判定を下すには十分の状況であった。