【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


 ルネリアは、グレンが視力が良くないと考えているが、グレンの方はといえば例えその方向に顔を向けずとも細かなものを確認できるほど、視野が広い。よってルネリアが熱っぽい瞳で自身を見つめていることは、十分すぎるほどに分かっている。

 そしてグレンはルネリアの視線がどこにあるかを分かっている手前、ルネリアの方が向けず、窓の景色を見るしかなかった。

(今、ルネリアの方を見たら、ルネリアが俺を見つめることをやめてしまう。しかし、俺はルネリアを見ていたい。しっかりとその姿を、この瞳に宿しておきたい……)

 グレンは自分とルネリアに残された時間が後僅かであることに胸を痛めながら、じっと車窓を睨む。グレンはこのまま、ルネリアを自分の元に置いて、彼女の人生を巣食うことは出来ないと考えていた。だからその分、いずれ来る別れの前に、彼女のことを少しでも見ていたかった。