【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約



(馬車の中で、一体どんな会話をすれば、ルネリアを楽しませることができるのだろう)

 辻馬車の中、ルネリアと向かい合って座るグレンは車窓を睨みつけながら、一人黙々と考える。キャロラインがメアロードの屋敷に訪れ十日、観劇の為に二人は城を出た。

 それから現在、谷を越え、丁度街まで半分というところまで来たというのに、グレンはルネリアが馬車に乗り込む際「怪我をするなよ」と言ってから、ただの一言も発していなかった。

(こうして過ごせるのも、きっとあと少しだ。そしてあの事も、話をしなければいけないのに)