食事中は何度もフォークから料理を皿へと落とし、朝「行ってくる」と伝える言葉すら何度も噛んでしまう。そして、極めつけは風呂場の鍵の受け渡しだ。ルネリアから鍵を受け取る際、手が触れないように何度もぎこちない動きを繰り返し、何度も鍵を落とす。そして二人同時に鍵を取ろうとして手を触れさせては、互いに素早い動きで離れ、また風呂場の鍵の受け渡しを繰り返すのである。
ルネリアは、今まで抱いたことのない、新たな感情に戸惑っていた。そしてグレンは、ルネリアの想いが自分に向けられていると知り戸惑っていた。
グレンはルネリアから想いを向けられることについて、決して嬉しくないわけではない。信じられないほど喜ばしいことであった。しかし、グレンの目的はルネリアを幸せにすることであっても、ルネリアとともに幸せになることではない。だからこそ戸惑い、その感情や目的の揺らぎが態度になって表れていた。



