それは「恋煩い」である。
心臓に悪いところも見られず、診察中は平熱であるのにグレンに顔を覗き込まれ、触れられるたびに頬を赤くするルネリア。恋にまつわる文献を漁ったグレンは、ルネリアのすべての症状がそれに該当し、さらにその対象が完全に自分と合致したことでまともに接することが出来なくなり、ルネリアへの態度は悪化し続けていた。
グレンは朝、ルネリアを起こすとき、棒のようなものでつついていた。それは目覚めてすぐ自分のような者が枕元に立っていたら恐ろしいだろうという配慮からだ。
しかし今、棒でつつくことですらグレンは緊張し、部屋の扉を開いて、そこから一歩たりとも部屋に入ることはなく、海釣りをするような竿を作り、それらを使って遠い場所からルネリアを起こしていた。



