「ねえ、メアロードについて、王子様に聞いてごらん。そして王子様からメアロードについて知っていることを聞き出すんだ。すると、王子は呪具のことについてきっと触れるはず。それについて、きちんと聞き出してみて。どこに保管されているか。それが分かったら、僕に教えて?」
男の言葉が、甘い毒のようにマリアの頭を痺れさせていく。マリアはそれに抗うように「あんたの目的はなに……?」と男を睨んだ。
「僕の目的は、君が本懐を遂げることだよ、マリア。君がその本懐を遂げようとしてくれたとき、僕の望みは叶うんだ。だからこうして、僕は君を助けに来た」
男はマリアの頬にそっと触れると、すぐに手を離す。そしてくるりと舞台に立つ役者のように扉に向かって歩き出した。
「本当は君をここから出してあげたいけど、今出しても君は捕らえられるだけだ。だから出してあげられない。今はね」
囁くように「ごめんね」と言い残し、男は扉を、そして鍵を閉めようとする。マリアがとっさに名前を尋ねると、男は「エドワード」と笑いかけ、その場を後にしたのだった。



