【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約


「そして君の妹は、メアロード家の当主に気に入られて、とっても幸せに暮らしているよ」
「……なんですって?」

 話を黙って聞いていたマリアは口を開き、眉間にしわを寄せその瞳に強い怒りを表した。男は面白がるようにマリアに顔を近づけるが、フードの中はその暗さで何も見えず、深い闇が広がる。

「メアロード家はここから東の果ての地域だけどね。屋敷ではなく城に住んでいるんだ。毎日ドレスや宝石を与えられ、豪華な料理を食べて暮らしているんだよ。君の妹は、当主に見初められたんだ。お伽噺の結末に、幸せに祝われるまるでお姫様のような未来が約束されているんだよ」
「あの子が、そんなはずが……」
「わざわざ僕が、嘘を教えにここに来ると思う? 王家に折檻された者のもとに、こうしてフードなんて用意して、わざわざ嘘を教えに行くなんてこと、君はする?」
「それは」
「ねえ、いいの君はこのままで。君の妹だけが幸せになってしまうよ? 君は幸せになれなくてもいいの?」
「……ならどうしろっていうのよ、こんなところに閉じ込められてちゃ何もできないわ。あんたが何かしてくれるって言うの?」
「そうだよ。僕が手伝ってあげる」

 予期していなかった男の返答に、マリアは大きく目を見開いた。男はくすくすと笑いながら、マリアの耳元に唇を近づける。